昨夜のWCS見ていましたか。すごい番狂わせでしたね。
中国1位のLGDが、EU2位のOrigenに敗北しました。
試合開始前の勝利予想もLGD 約90%、OG 約10%と圧倒的な差がありました。
Origenは、いかにしてS級のチームに勝利したのか。見返していきましょう。
||試合動画
||バンピック
BANS
LGD | Origen |
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まず初めに、LGDはVarusをBANしました。おそらくxPekeへのMeta BANでしょう。
EU LCS Playoff FinalでFnaticに勝利したOGのAD Poke構成を潰すための、Varus / GP BANだと推測できます。
(GPはOPだからという見方もできますが。)
OrigenはOPであるMordekaiserをBANし、Peel力の高いLeeSin / Rek’SaiのJunglerたちをBANしました。
Luluをファーストで取られると予測すると、さらにPeel力が高いJunglerをPickされるとキャリーを止める術が無くなるためです。
PICKS
LGDは、Openになった Luluをファーストピックで取ります。
この時点でLGDの戦略は“PROTECT CARRY構成”であることが確定しました。
Origenは、これは予測済みでした。即座にPick権を返します。
OrigenがPickしたのは Kalistaと
Eliseでした。Pick時間はわずか10秒。
LGDはセカンドピック、 Kog’Mawと
BraumをPickします。
なるべく確定している戦略以外の情報を与えないために、ADC / Supportを出してカウンターをさせない心構えだったのでしょう。
Origenは、次に Oriannaと
AnnieをPick。
AnnieはBraumの壁を貫通してスタンさせることができますし、もし集団戦でスタンが決まればそのまま勝利に持っていけます。
KalistaやOrianna Wという強力なEngageもあるため、AnnieはFlashを使わずともEngageが可能です。
OriannaはProtect Carry構成に対して有効で、ボールを使ったZoning性能が高く敵キャリーを威圧できます。
LGDはここで、 Viと
MalphiteをPickします。
Engage力に乏しいProtect Carry構成で、Engage要素を取り入れていこうと考えたのでしょう。
CC無効の2Ultで、敵後衛に確実に入り込むことができます。
Kalista / Oriannaを止める手段を欲したがゆえのPickと言えるでしょう。
Origenはこれに対して、 VladimirをPickします。
これは非常に有効でした。Vi / MalphiteというPeel力に乏しい2tankをPickさせた後に、
集団戦においてゾーニング性能の高いVladimirをPickし、どこからでもダメージを出せる構成にしました。
OrigenにはTankはいないですが、それは大した問題ではありません。
それよりも敵のKog’Mawをどれだけ無力化できるかどうかがこの構成のカギだったと言えます。
LGD | Origen | |
---|---|---|
Top | ![]() |
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Jungle | ![]() |
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Mid | ![]() |
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ADC | ![]() |
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Support | ![]() |
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||構成の狙い
LGD側
キャリーを守りつつ、Engageして4 KnockupでKalistaを封殺する
前の薄さをMalphite Viでカバー
前衛 : Malphite, Vi 後衛 : Lulu, Braum, Kog’Maw
Origen側
どのチャンピオンからもダメージを出せ、AoEによるゾーニングで敵キャリーを自由にさせない
Annieの範囲スタンからVladimir、OriannaのWombo Comboで集団戦を制する
お金がかかるのでお金がほしい
前衛 : Vladimir 中衛 : Elise, Annie 後衛 : Kalista 最後衛 : Orianna
||試合展開
試合序盤~中盤
序盤、Malphite / Vladimirとのマッチアップを避けてLGDはSwapを選択します。
Malphiteはローエコノミーなチャンピオンであり、CSをあまり必要としませんが、
激しいゾーニングでTopを腐らせるのは非常に有効だったはずです。LGDはここで少し有利を取りました。
Topのファーストタワーを取ったLGDは、Swapレーンを元に戻します。
ミニオンを押し込んでしまったTopレーンでは、キャリーにお金を集めることができないのが理由です。
しかしOGは、ミニオンウェーブを調整し、レーンフリーズを選択しました。
これによりBotレーンはKog’Mawにとって少しファームし辛く、またKalistaにとってもファームし辛いミニオン状況になりました。
Topはミニオンを押し込んでいるため、Malphiteは非常にファームしづらいです。
試合時間8:50あたり、LGDは赤サイドのJungleの視界を活かしてBotへのタワーダイブを仕掛けようとします。
しかしバーストを受けたAnnieをKalistaがUltで助け、MalphiteのUltをFlashで避ける完璧なプレイでタワーダイブを避けます。
さらにFlashを消費していないAnnieが、油断しながらGrompを狩るViをキャッチ。
Ultスタンからのダメージを全て入れて、完璧にカウンターを成功させます。
このタワーダイブ失敗とカウンターにより、Top laneの差はますます広がります。
CS差は10分時点で28 vs 56と30ほどに広がり、長い時間Vladimirをフリーにしたことにより
タワーも取られて経験値でもかなり優位を取られました。
こうなればTop laneは元々不利なマッチアップなうえに、取り戻しがつかないほどのディスアドバンテージとなりました。
Viが1killを献上し、CSでも少し優位を取っていたOriannaは、Teleportを持つことによりLuluにRecallの暇を与えず、そしてLuluが耐え切れずにRecallしたタイミングでEliseがGroupしMidタワーを13分で取ります。
さらにOGはオブジェクトの取得を進めていき、Midタワーを取った後に敵赤バフに流れてJungleの視界を取り、LGDのBotがBotタワーを取りRecallしたタイミングでDragonを開始。OGはKalistaによるSmiteがあるので、StealもされにくくDragonを簡単に取ります。
16分、Vladimirがトラップに引っかかりキルされると、TPで寄ってきたOriannaもKog’Mawにキルされてしまいます。
OGはTopのタワーを取れたため、オブジェクトでの優位は依然変わりませんが、Kog’Mawを育ててしまいました。
この後、15分ほどLGDはこの有利を活かして、バロンへの圧力からPick upに成功、さらに有利を広げていきました……34分までは。
34分、LGDはMIDにGroupしていたOrigenを挟み込みました。
挟み込まれたOrigenは、とっさに反転。
MalphiteのEngageを避けて先にVi、Lulu、Kog’Maw、Braumの4人にEngageを仕掛けます。

Viがイニシエートするも、OriannaによるBallのゾーニングで適切な位置取りがしにくいKog’Maw / Lulu

Ultを2人に当てるVladimir。
ここで、二人のADCarryがどちらもADCarry同士しか攻撃できない位置にいます。
もし1v1をすればKog’Mawが勝ちます。それを理解したKalistaは、AnnieをUltで引っ張り、
攻撃されるのを承知の上でUltの打ち上げによりKog’Mawを抑え込みます。

Kalista Ultを2人に当てるAnnie。打ち上げにより動けないKog’Maw。
MalphiteはKalistaを止めようとしますが、Oriannaがもう構えています。Vladimirの位置取りも完璧でした。

動けないKogMaw、Lulu、Braum。それをpeelしようとする瀕死のViをまとめてShockwave。
Vladimirによりダメージは12%増加しています。この戦闘で主導権を握ったOrigenは、ACE、インヒビター、バロンを取得。
終盤
VladimirはTopをSplitしますが、LGDはそれに対する回答がLuluしかいません。
それはPush力のないKogMaw / MalphiteではSplit Pushに対抗できないためです。
しかし、LuluはLGDのProtect Carry構成の最も大切なコアです。Origenは4v4でbot siegeをして、無理なhomeguard engageをflashで回避すると、サイドから入ったVladimirがUltを4人に当てます。OrigenはVIをキルしてBotのinhibiを取ることに成功。
この時点で、Splitに対処する方法がまるでありませんでした。
最後はそれの延長線上。Splitへの対処を怠ったLGDは、それに食われて、誰も想像しないようなラストを迎えました。
||試合のまとめ
LGDはOrianna、VladimirのZoningにより安定したKog’Mawのダメージを出させることができませんでした。
Protect Carry構成でありながら、Vi / Malphiteというengageに優れたチャンピオンをPickしてしまったことにより、Kog’Mawを守る手段も少なくなってしまいました。
OrigenはVladimir / Orianna / KalistaというPushに優れたチャンピオンをPickし、Engageに相当な労力を費やさせることができました。その結果、LGDはEngageを受けても安定したZoningの位置取りと、有利な状況での集団戦が容易に行えました。
現在のメタにおいて、Protect Carry構成はとても有効な構成ですが、まだまだ万能ではありません。
LGDは中途半端なPickばかりしてしまい、Engageも中途半端、Kog’Mawを守る力も中途半端になってしまいました。
そこをZoning / Teamfight / Push構成で突いたOrigen。そしてxPekeの流れを変えるShockwave。
もうEU / NAがKR / CNに劣っているとは言わせない。その差は、あまりに小さいものだといえるでしょう。
||あとがき
この試合の3試合後、台湾のYOE FWが韓国のKOO TIGERSを撃ち殺しました。
中国と韓国、この二大大国がEUの新生チームと台湾の古豪に倒された今、Group Stageはもはや予想できません。
今日も大金星を掴むチームは現れるのか。そして世界最強と言われるSKTを倒すチームは現れるのか。
今年のWCSは大注目です。最高に面白いですね。
SHOCKWAVE
