ついに始まったMSI。PGMはかなり厳しいスタートを切りましたが、なんとか勝利を掴み取ってほしいところですね。
MSIも2日目が終了しましたし、今回は2日間のBAN/PICK傾向を見て、注目されているチャンピオンを考察していきます。
今大会注目のチャンピオン
Top Lane
今大会で最も重要なレーンだと思います。キャッチとしてもAoE CCとしても使いやすい強力なUltを持つオーンを中心として、チームが行うゲーム全体の流れを決定するピックです。
ガングプランク(3Picks / 8Bans Pre92%)
非常に高いBAN率を誇るGPは、ブリンクのないタンクをほぼ無力にするほどの二種のスローを持っています。それに加えてレートゲームでのダメージは最強格であり、存在するだけで相手のキャリーにかなりのプレッシャーを与えることができます。
集団戦や局地戦をコントロールするのに優れたチャンピオンだと言えるでしょう。また、ウェーブクリア性能が非常に高いこともそれを活かしやすくします。
GPに対抗するには基本的に1対1のところで何とかする必要があるので、基本的にカミールやフィオラ、ナーといったSplit Pusherをぶつけるのが一般的です。ですが、そのプランで試合を進めるためにTopから試合を作っていっても、GPはUltでユーティリティな活躍を見せますし、そもそも1対1が弱いわけではありません。
別の選択肢としてイレリアを用意してくるチームがあれば面白い展開になるはずですが、イレリアはリワーク直後でどのチームもピックに少しためらいがあるようです。どちらにせよ、GPはトランドルやスカーナーといったJunglerや、オーンがピックされているうちは注目され続けるでしょう。
オーン(7Picks / 3Bans Pre83%)
高いPick率を誇るオーンは、GPのピックを潰した後の最もポピュラーなピックです。ウェーブクリアこそ少し物足りないものの、Wのシールドやアイテム購入によるレーン耐久力、優秀なダメージトレード、そして唯一無二のUltによるエンゲージやTPからのキャッチが特徴的です。
オーンは集団戦のエンゲージをあまりにも安全、かつ強力に行えることがピックの理由になっています。また、TPから離れた敵にキャッチを行えるチャンピオンはそういないため、その点もかなり評価されているようです。
対抗策としては集団戦でそれ以上の活躍ができるチャンピオンをピックするか、1対1が強力なチャンピオンを使い、Topを集中的に潰すことです。前者であればカウンターが得意なスウェインやガングプランクといった候補があります。また、キャリーがザヤでもない限りほぼオーンのUltに当たってしまうため、打ちあがったキャリーを守る手段があればなお良いでしょう。
Jungle
今年はダッシュを持っていない脳筋ピックが多め。EUでトランドルJungleがピックされて驚かれたのはとうの昔話のようです。
トランドル(8Picks / 4Bans Pre100%)
脳筋なヤツ第一号。二号はオラフです。柱を立ててひたすらに殴ってくるだけですが、その柱のキャッチ性能がヤバイ(語彙力)。同じ脳筋タイプのオラフにも、CC無効を無視して地形効果で邪魔ができるので強いです。
タンクで対抗しようとするとUltでそのARMRをおいしく吸われてしまうので、トランドルと戦うことは避けて別の場所で試合展開するアサシンを出すのが一般的。ただ一度トランドルと出会ってしまうと、彼に勝てるチャンピオンはほとんどいません。集団戦においてはトランドルがバックラインに入ってくるとスロー祭りであっという間に陣形が崩れてしまうので、なるたけフォーカスを合わせるのも重要になるでしょう。
スカーナー(4Picks / 2Bans Pre50%)
プレデターとグローリーで走ってきて人さらいしていくヤベー奴。誰でもわかるように最強のキャッチ力の持ち主です。
早めにサッシュを購入することで対策はできますが、ビルドが遅れてしまうのでそれだけでもスカーナーの存在価値はあります。ビルドで遅れさせてエンゲージをするか、キャッチを続けてオブジェクトを取り試合を早めにたたむのが狙いのチャンピオンです。
確定性の高いGankこそ行えますが、Ultに頼る部分が大きくゲームメイクに爆発力はないです。後半になればなるほどサッシュの分の遅れは小さくなるので、試合が長引くのも苦手です。対抗するなら先手を取って動くか、耐える試合展開にしてサッシュを早めに買うのが良いでしょう。
Mid Lane
爆発力か、DPSか。メイジタンクの皮をかぶったアサシンが絶賛活躍中です。
ブラッドミア(2Picks / 7Bans Pre83%)
いったい誰が最初に思いついたのかわかりませんが、 シュレリアの思念はブラッドミアにベストマッチするアイテムですね。敵に近寄るための加速力、ヘルス、MS、CDR、APと欲しいものが全て揃っています。
そこに加えてSUPのGBMは スペルバインダーまで積んできました。もう機動力がないとは言わせないブラッドミアの完成です。
完全に決まった時のダメージの高さは元々あったものですが、機動力の無さが彼の弱点でした。それが克服された今、「PeelのしようがないうえにAoEのゼド」のようなアサシンメイジが完成しました。
…とまあ、これだけ言うと無敵のように感じますが、ブラッドミアのいる場所さえわかっていれば対処のしようはあります。後ろを取られたり横から入られても、カイサのようにいきなり飛んでくるわけではないので、距離を離しつつ戦えば良いです。ただ同じ画面内に映ったら終わりというレベルなので、キャリーは広い視野が必要になるでしょうね。あとはアリスターとかピックしてもいいと思います。飛ばせるし。
カシオペア(4Picks / 4Bans Pre67%)
DPSメイジはアジールやライズといったチャンピオンがいますが、その中でも一際安定感があるのはカシオペアですね。近寄ってくる敵に対しては石化の魔眼、逃げていこうとする敵にはミアズマと敵の数に関わらず多くの状況に対応できるのが彼女の強みです。
特にチーム構成、チームの狙い、敵の構成どれにも関わらずピックできる柔軟なチャンピオンだと思います。先出しもできます。ビルドもアークエンジェルスタッフ以外は特に固定されていないので、敵に合わせたアイテムを購入しやすいです。なんでもできますが、キャッチが最強というわけでもなく、集団戦でも最強というわけでもなく、DPSも高いですが一番というわけでもない、器用貧乏なだけにプレイヤーの技術がとても試されるチャンピオンだと思います。
ADCarry
集団戦の要。チームファイト構成を作るなら極めて重要なポジションになります(これは現環境というより一般的なADCarryの紹介文です)。
カイ=サ(2Picks / 10Bans Pre100%)
今大会で間違いなく最もぶっ壊れなチャンピオンです。レーニングの射程差で有利を取る以外の対抗手段がほとんどなく、レーニングで抑え込んでも1対1でカイサに勝てるADCはほぼいません。
グインソーを積むだけでダメージレースで右に出るものはほぼおらず、対タンク性能も最高クラスです。しかもUltで瞬時に距離を詰められるため、Wを当てれば1対1を、味方のCCに合わせれば2対1をいきなり作り出すことができます。
ケイトリンを使ってレーンを完全にコントロールできるという自信がない限りは、間違いなくオープンにしてはいけないチャンピオンでしょう。そのため赤チームはほぼカイサのためにBAN枠を一つ割くことになります。
ケイトリン(6Picks / 5Bans Pre92%)
カイサの次に強力なADCはケイトリンでしょう。レートゲームキャリーでありながら、最高の射程があるためレーニングも強力、IE+ジール派生という2Itemsのパワースパイクを迎えれば十分なダメージが手に入ります。
そのため対策としては弱点である序盤から中盤に移るタイミングを攻めるのが重要になり、その段階で行動を起こしやすいしやすいチャンピオンをピックする必要があるでしょう。例えばジンは後半のケイトリンに勝てるわけではないですが、Ultにより中盤で戦闘を起こしやすいため良いピックです。同じ理由でスカーナーやオーンなども効果的でしょう。
ケイトリンのチームとしては、そのタイミングでカウンターするためのチャンピオン、あるいはそれらのチャンピオンを敵から奪うためにピックする必要があるでしょう。
Support
チームの隠し味的なロールです。チームに欲しいものをSupportに求めます。
ラカン(8Picks / 3Bans Pre92%) +
ザヤ(7Picks / 0Bans Pre58%)
ラカンはザヤがいてこそ!ということはないのですが、ザヤがいればもっと強力です。機動力の高さとエンゲージ力が評価されているので、単体でも十分強力ですが…。
ラカンは目ぼしいものがBANされていれば、まず青チームがファーストで取る第一候補です。何故かといえば、赤チームにザヤラカンをセットで取られてしまうからですね。それもあって今大会のピックはBotとJungleを序盤に、そしてソロレーンを後半にする傾向があります。
ラカンの対策は、エンゲージされた状況を考えるのが一番です。ラカンがエンゲージしてきた時、敵をゾーニングする、あるいは迎撃する手段を用意する必要があります。
ラカンのエンゲージを防ぐならモルガナをピックするというのもありますが、今大会のモルガナは4Picks/8BansのPresence100%になっています。モルガナのブラックシールドとスネアが現環境で非常に効果的ということもあり、モルガナをラカン対策に組み込むのはかなり敵任せです。
ラカンのエンゲージに対抗してエンゲージ構成を組むのは、あえて数字の低い手札で戦う大富豪のように感じます。ですからエンゲージされるのは仕方ないと割り切り、カシオペア/スウェインといったゾーニングやカウンターを得意としたチャンピオンをピックする方が効果的でしょう。
アリスター(3Picks / 2Bans Pre42%)
ラカンの項目でモルガナは現環境に刺さることを書きましたが、アリスターはモルガナの代替案としてそれなりに有効です。
徒歩でキャッチしようとしてくるチャンピオンが多いため、ノックバック持ちのアリスターはPeel能力が最高クラスです。ただしアリスターにエンゲージを頼る構成になるとPeelに回ることができないので、サポートの他にエンゲージのツールが必要にはなりますね。
ちなみにラカンとのマッチアップとなると、反応の勝負なのでスキルマッチアップ…と思わせつつ、ラカンはアリスターが守れないタイミングを狙って攻め入るだけの機動力があるので、実際のところだとラカンを上回るスキルが必要になります。
アリスターがPeelに回っても勝てるだけのパワーが必要になるので、キャリーがどれだけ動けるかで集団戦の勝敗が決まります。ラカンへの対抗札が増えてくれば、アリスターは今大会でもっと注目されるでしょう。
あとがき
Dara選手の騒動について、すごく悲しく感じました。彼がファンと真摯に向き合ってきたという経緯があるからこそ、今回の話はそう真実から離れていないと感じてしまいます。
ただ彼が望んでいるのはPGMへの非難ではなく、差別のない健全なリーグへ戻ることではないかと個人的には思っています。このリーグ全体に対する漠然とした不信感を取り払うためにも、透明性と整合性のある公式の発表をしていただきたいですね。
泣かせること言うじゃねぇかこの野郎…(感涙)
感動しました。