事前登録戦略に意味はあるのか

 今回はLoLに関係のない記事です。
 今回の記事は、ネイティブゲームやブラウザゲームにおける、事前登録という制度についてです。この事前登録というのはゲームのサービスが開始した際、メールなどの連絡手段を使いサービスの開始を知らせるものです。更に言えば、ゲームのサービス開始を待っているプレイヤーに特別感を持たせ、特典を付けてゲームを多少有利に進行させる……というものですね。
 さて、今回の題はその事前登録制度が広がりきった後の現状です。興味があればご覧ください。


 || 事前登録戦略とは


 F2Pのスマートフォン向けアプリゲーム(以下ネイティブゲーム)や、Free to Play(以下F2P)のブラウザゲームには、何年も前から事前登録という制度が存在します。事前登録は、ゲームが開始したと同時に登録したユーザーにサービス開始のメールを送り、更に特典が付与されるというものですね。
 事前登録戦略は既にかなり浸透していて、既に「予約トップ10」 や 「ゲームギフト」といった、企業に事前登録の場を提供するサイトがあります。また、ゲームに特設ページを用意して、メールアドレスを登録させる場合もあります。
 これにより登録したユーザーは、事前登録以外のユーザーと比べて、特典とスタートの早さでアドバンテージを得ることになります。これが、事前登録ユーザーの特別感というわけですね。
 まず最初に、事前登録戦略によって得られる企業側の効果は、

  1. 初期ユーザー数の確保が簡単
  2. 事前登録ユーザーに特別感を持たせることにより、継続率の増加を狙う
  3. 事前登録という名目で、サービス開始前から宣伝が可能

 ということです。
しかし、事前登録という戦略はあまりに浸透しすぎました。以前、私が スマートフォンのリセマラ事情。 という記事を書いたのと同様で、浸透しすぎるとゲームのどこかに悪影響が現れ始めます。
その浸透しすぎてしまった代償は、特別感の反転です。
 || 特別感の反転


 上で述べた通り、事前登録はユーザーへの特別感を与えるためのものでした。その特別感の副次的効果により、継続率を間接的に延ばす効果を与えていたのです。
 しかし現状、浸透しすぎた事前登録戦略は、特別感を反転させています。
 つまり、事前登録していないユーザーを”差別化”して、事前登録ユーザーを”一般化”してしまっているのです。
 これは本来の狙いから、大いに逸れることになります。初期ユーザーを重んじるばかりに、新規ユーザーのプレイを戸惑わせてしまいます。
 例えば、今2つのゲームがサービスを開始したとしましょう。それがあなたが事前登録したゲームと、事前登録していないゲームなら、事前登録したゲームをプレイするはずです。この傾向が高じた結果が、現状なのです。
 本来は事前登録ユーザーに「事前登録をしたから、少し有利に進められる」という意識を与えて、事前登録ユーザーに特別感を持たせるためのものでした。
 しかし現状は、「事前登録していないゲームは、不利だからプレイしない」という、特別感の反転が起きています。
 本来ポジティブなものであるべきが、浸透しすぎたことによってネガティブな印象を与えてしまっているのです。
 || 認知のための事前登録戦略


 今回の題は、この戦略にまだ価値があるのかということです。
 予約トップ10というサイトを、先ほど紹介しました。ここは事前登録を主としたサイトです。このサイトを使って、サービス前の多くのネイティブゲームが事前登録制度を採用しています。
 先ほど述べた通り、事前登録に特別感はもうありません。ならば、重要なのは事前登録の拡散能力です。平たく言えば宣伝ですね。
 この予約トップ10は、Twitterと連携させることにより機能するようになっています。
 事前登録を完了するために、Twitterへの投稿が必要なのです。これは宣伝として非常に有効で、情報を自動的にSNS上に拡散する事ができます。
 ここで、少し話がそれるように感じるかもしれませんが、現在のネイティブゲームが注目され、ダウンロードされるための一番のプロモーションとは何でしょうか?
 それはGoogle PlayやAppStoreのアプリマーケットにおけるランキングに載ることです。売上ランキング、無料DLランキング、新着ランキング…様々ありますが、それらです。
 ならば新着のゲームがそのランキングに入りこむには、やはり事前登録によるユーザーが必要なわけです。
 ここで話を戻しましょう。予約トップ10というサイトは、事前登録数によるランキング付けをしています。
 もう訳がわからなくなりますよね。アプリストアのランキングに載るために、事前登録ランキングに載らなきゃいけない。完全に二度手間であまりにも滑稽な話です。
 なら、なぜネイティブゲームは事前登録のシステムを採用し続けるのかというと、「他がやるからやるしかない」んですよね。だって、事前登録していないゲーム=プレイしない、事前登録したゲーム=プレイする、という方程式が出来上がってしまっていますから。この事前登録戦争は、法律で禁止でもされない限り終わらないはずです。
 F2Pのゲームの多くは、重課金プレイヤーのおかげで成り立っているという話がありますよね。実際、ネイティブゲームの開発費はクオリティと比例して肥大化し続けていて、今のF2Pネイティブゲームは思われているほど理想的なビジネスではありません。かつては夢のビジネスとも謳われましたが、今は多くのゲームが知られることもなく消えていくのです。
 安定した収益のためのユーザー確保に、事前登録による宣伝は非常に有効です。事前登録数によりある程度のユーザー数の見積もり、収益の見積もりが可能で、あるいは事前登録の伸びが悪ければクオリティを落として開発費を落とすことさえできます。
 事前登録のシステムは、企業にとってある意味保険のようなものです。安定性を求めた結果が事前登録なのです。
 || この後の展望


 現状、事前登録は本来の目的と逸れながらも、必要不可欠な戦略です。
 だからこそ事前登録戦略はこれからも更に盛り上がるはずです。むしろ、アプリストアにおけるランキングが最もプロモーションとして有効な現状だと、注目されないゲームが注目される場がもはや事前登録しか残されていないのです。
 事前登録で大きな注目を受けたゲームとしては、「フルボッコヒーローズ」がありました。事前登録をすることによりフライングガチャというガチャを引くことができ、リセマラが必要ないように時間の先行投資を可能にしたのです。私もこのフライングガチャに参加し、最高レア度を当てました。実際プレイしたかというと、していません。
 なぜかと言うと、これはリセマラ強要を回避できていなかったからです。フライングガチャの苦労+リセマラの苦労という、二重苦になっただけでした。私はガチャで心が折れきっていたので、もうゲームを開始する気も起きなかったわけです。
 しかし、フライングガチャはこれ以来一般化していて、事前登録にはフライングガチャが付くことが増えてきました。フライングガチャの多くはガチャを一定数回すたびにTwitterへ拡散する制度を取っており、宣伝効果は抜群です。
 ならば、フライングガチャを採用するゲームと、採用しないゲームではまた拡散能力が変わってくるため、注目されるためにまたフライングガチャが一般化していくことになります。そしてフライングガチャが追加されることにより、また事前登録の重要化、新規ユーザーの差別化が進むわけです。
 このように、事前登録によるスパイラルは続いています。この傾向により新規ユーザーに求められる敷居が高く、F2Pの強みである「とりあえずやってみよう」のプレイヤー開拓ができなくなってしまっています。
 結論としては、事前登録は安定性を求めた結果であり、事前登録の価値が上がるほどに初期ユーザーを集めやすくなり、新規ユーザーを集めにくくなります
 そして事前登録の価値を下げれば下げるほど、初期ユーザーを集めにくくなり、新規ユーザーへの敷居が低くなります
 || あとがき


 なんでこんな記事書いてるんだ?と思う方もいるかもしれませんが、ゲームについての論文を書こうとしてる大学生の暇つぶしだと思ってください。(ブログURLもSocial Gameって書いてるしね!)
 元々文章が書くのが好きなので、こういう文章を書く時が一番ウキウキしています。長い文章を読んでくれた人がいれば、ただただ感謝します。



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